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第5回 : 躾 (しつけ) ・ 思いやる心 ~思いやりを育てよう~

新年明けましておめでとうございます。 新しい1年の始まりです!

今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

今回のテーマは躾 (しつけ) ・思いやる心です。 しつけという漢字には、身を美しく 【躾】 と書きます。 自分自身を美しくする為の振る舞いですね。 しつけがなっているとかなっていないとか、この様な使い方をする方も多いのではないでしょうか?

躾は、善悪の判断や行いを大人が伝えていきます。 子どもは、まだ知らない事が多く、大人から聞く言葉や、大人の行動を見て、少しずつ学び成長していきます。 最近では、躾と言って子どもを叩いたり、逆に個性の尊重・自由という美名で、躾をせずに放っておく大人が増えています。 躾だといって叩かれて育った子は、委縮してしまい自分から率先して動かない人が多く、個性ばかりを尊重して何も教わってこなかった子は、大人になっても我儘で相手の立場や気持ちなど考える事すら知りません。 これは本当に怖い事だと思います。 物や情報が溢れる世の中で、この様に間違った躾のされ方で育った人ばかりになると大変ですよね。 そうならない為にも、間違った躾にならないように気を付けなければいけません。

子どもを育てる上で、小さい頃から本物に触れ、本物を見ると良いと聞いたことがあります。 それにも賛否両論だと思いますが、2~3歳の頃から美術館や高級レストランに連れて行くのはどうでしょう? 子どもにとって、静かにじっとしている事は、苦痛で仕方がありません。 本物を体感させてあげたいと思うご両親の気持ちは分かりますが、その為に本来の子どもの姿を押さえつけてしまうより、公共の場所での行いの善悪を、躾として身に付けてからの方が、より時間や気持ちにも余裕が出来、有意義なものになると思います。

最近、私がよく見かけるのが、子どもが人から何かを貰った時、お礼を言おうとしている子どもより先に、「ありがとうは?」 と即座にお礼の言葉を言わせようとするお母さんの姿です。 お礼を言うのは当たり前ですが、もらう = ありがとう になっていませんか? お礼のスピードを競う前に、貰った事に対する気持ちを子どもと一緒に味わってみてはどうでしょう? 子どもの中には、嬉しさのあまり 「やったー!」 とつい口から出てしまう事もあるでしょう。 嬉しさを噛み締めている子もいるでしょう。 「良かったね! 嬉しいね!」 という大人の言葉で子どもの気持ちをしっかりと受け入れ認めてあげると、子どもの中にも 【ありがたい】 という気持ちが自然と芽生えてきます。 思いやりの心も、実はこんな小さなところから育まれていくのだと思います。

私は、幼稚園や小学生の子ども達と接する機会が多く、日々様々な場面に遭遇します。 子ども同士でよくある揉め事や喧嘩にも、自分の気持ちや相手の気持ちを思いやるという勉強をさせられます。 その時の喧嘩の原因はおもちゃの貸し借りでした。 1つしかないおもちゃを自分の番が来るまでずっと待っていたSくんは、友達の気持ちをしっかり考えられる大人しい性格です。 Mくんが中々おもちゃを貸してくれないので、暫く待っていました。 数分後、おもちゃの催促にいくと、Mくんは渋々使っていたおもちゃを貸してくれましたが、その直後に別の友達Kくんにおもちゃを貸してほしいと頼まれたのです。 Sくんは 「後でね」 と伝えて遊ぼうとしていたのですが、Kくんは先生におもちゃを貸してくれないと報告しました。 先生は、「おもちゃはみんなの物なので仲良く使いなさいよ!」 と2人を宥めました。

それから先生は、Sくんにこう聞きました。 「Sくん、こんな時はどうしたらいいの?」 Sくんは、長時間待ってやっと使えるようになった事など先生に言える性格ではありません。 Sくんは、「はい、どうぞ」 と言って折角手に入れたおもちゃをKくんに譲ったのでした。 2人のやり取りを聞いて、先生は一安心してその場を去って行きました。

この様に、トラブルを解決しようと大人は半ば強制的に言葉だけで謝らせます。 子どもは、少し怒って 【ごめんね】 や 【はいどうぞ】 の様に、言葉だけで謝ります。 これでは、思いやりの気持ちを育てるどころか、押さえつけてしまうばかりですよね。 果たしてSくんの 「はいどうぞ」 は本心でしょうか? 本当に貸してあげる事を納得したのでしょうか? 私には、この時の先生の問いかけは、謝罪や譲り合う事を言葉に出す事がゴールだと勘違いをしているように思えました。

自分の気持ちが分からなければ、相手の気持ちを読み取るのはとても難しいですね。 ましてや、相手を思いやる事は容易ではありません。 子ども育ては自分育てです。 相手を思いやれる優しい心を育てていきたいですね。


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