2024年7月3日、日本では20年ぶりに新しい紙幣が発行されました。1万円札、5千円札、千円札のデザインが刷新され、偉人たちの肖像や日本の文化が新たな装いで描かれています。しかし、新札の魅力はそのデザインだけではありません。偽造防止技術においても、世界最先端の技術が詰め込まれています。
今回は、新札のデザインやそこに使われている最新技術を詳しくご紹介します。
デザインに込められた日本の文化
新しい紙幣には、日本を代表する偉人や文化的な要素がふんだんに取り入れられています。例えば、新1万円札には渋沢栄一(日本近代社会の創造者)、5千円札には津田梅子(女子英学塾(現・津田塾大学)の創設者)、千円札には北里柴三郎 (近代日本医学の父と呼ばれる細菌学者)の肖像が描かれています。それぞれの人物が持つ歴史的背景や功績が、紙幣を通して私たちに語りかけます。
世界をリードする偽造防止技術
1) 凹版印刷技術
新しいお札には「凹版印刷」という技術が使われています。これは彫刻された線のくぼんだ部分にインキを詰めて印刷するもので、細部まで精緻に表現できます。特に、額面・数字・識別マークには「深凹版印刷」という特殊技術が施され、触るとざらざらした感触が特徴です。これにより、触覚での識別も可能になり、視覚に障害のある方にとっても使いやすくなっています。
2) 高精細すき入れ(すかし)
「すき入れ」は日本の伝統的な和紙の技術を応用したもので、お札を光にかざすと肖像が浮かび上がる「すかし」が見られます。新札では肖像の周囲に細かい連続模様が施されており、この技術は偽造防止に大きな効果を発揮しています。さらに、この精巧なデザインは世界的にも高く評価されています。
3) 世界初!3Dホログラム
お札を左右に傾けると、肖像が回転してこちらを見ているかのような3D効果が楽しめるホログラム技術が採用されています。この技術が紙幣に使われるのは世界初の試みであり、見る人に驚きをもたらします。
その他の偽造防止機能
- マイクロ文字:極小の「NIPPONGINKO」の文字が印刷され、コピー機では再現が難しいほど細かく刻まれています。
- 潜像模様:お札を傾けると、裏面に「NIPPON」の文字が浮かび上がります。
- パールインキ:お札の左右両端にピンク色の光沢が現れる特殊インキが使われています。
- 特殊発光インキ:紫外線を当てると、表面の一部が光って見える仕組みです。
触覚で識別できる設計
目の不自由な方が紙幣を容易に識別できるように、深凹版印刷を用いたざらつきが施されています。これにより、全ての人にとって使いやすいデザインとなっています。
新しい日本の紙幣は、単なる通貨としての役割を超えて、日本の伝統技術と最先端テクノロジーが融合したアート作品とも言えるでしょう。皆さんも次回日本に行った際には、ぜひ新札のデザインと技術を楽しんでみてください。
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